バイオスティミュラント資材って、本当に大丈夫?

バイオスティミュラント資材って、本当に大丈夫なものなのでしょうか。生産者にとってみれば、メーカーの謳う効果があるのか。消費者にとってみれば、安全かどうかです。このブログを立ち上げ、バイオスティミュラント資材のWEBサイトを見る機会が必然的に増えましたが、懐疑的な方も多いのではないでしょうか。なぜなら、各メーカーが言うような素晴らしい効果が本当にあるのなら、瞬く間に広がり、浸透していてよいのではないか、そう思うからです。

日本国内ではメーカー数社が2018年に日本バイオスティミュラント協議会を立ち上げました。農薬とも違う、肥料とも違う、植物の潜在的な能力を引き出したり、非生物的ストレスを緩和したりする素材を開発・販売するメーカーとなるため、一定の基準や指標を設け普及活動を行う組織です。立ち上げから7年目となりました。全国のJAでもバイオスティミュラント資材を取り扱っているページを見ることが増え、日本バイオスティミュラント協議会の賛助会員が日に日に増していることからも、次第にバイオスティミュラント資材が浸透してきているのはたしかです。しかし、今のバイオスティミュラント資材の普及状況を見る限り、7年経ったにしては遅いように思うのは私だけでしょうか。協議会の発端となった企業が全くの無名な企業ならまだしも、一般消費者にも名の知られたメーカーもあり、また次第に増えてはいる賛助会員ですが、そのなかには農業関連企業としての有名企業も多く、そういった方々でさえも、はじめはバイオスティミュラント資材に対して懐疑的なのであったのではないかと思います。

そういったことからもバイオスティミュラント資材という文言は実際にまだまだなじみが薄いわけですが、言葉の意味合いで非常に似ていると思われる「植物活力剤」という商品はかなり前から存在していました。私が知っているのは、グリーンアンプルです。花が好きな母の鉢植えに刺していたことを思い出します。細長い緑色の容器に入っていて、先端を切り、鉢植えに刺すだけで植物が元気になると謳う商品です。

先ほど、グリーンアンプルでWEB検索をしたところ、レインボー薬品株式会社の商品がヒットしました。

サイト内を見ると、主な成分は窒素、リン酸、カリの三要素と微量要素とありますので、いわゆる肥料に該当するのでしょうか。残念ながら、これを刺しただけで目覚ましく回復したかどうかは記憶にありませんが、こういう植物活力剤が日本国内におけるバイオスティミュラント資材のさきがけということではないでしょうか。

HB-101をご存じでしょうか。昨年、2024年11月に東京都世田谷区にある東京農業大学の学祭こと収穫祭で、シクラメンを買ってきました。当初は元気いっぱいに咲き誇っていましたが、次第に水を与えてもイマイチ元気がなく、枯れてしまいそうな勢いでした。ホームセンターでたまたま見つけた超元気にすると書かれたHB-101。パッケージには期待しつつも、このままならどうせ枯れてしまうのならばという思いで、騙されたと思い購入したHB-101のスプレーをそのシクラメンに噴霧したところ、一週間も経たないうちに萎れた葉がピンと立ち上がり、再びつぼみが付けてくれ、嬉しく思ったことを覚えています。シクラメンはその後、花が咲き、今も生きています。気になったのは、HB-101の説明を読む限り、植物自体の免疫力を活力化させるとあり、まさにバイオスティミュラント資材の王道のように思えるのですが、バイオスティミュラントの文言は見当たらないことです。植物活力剤とバイオスティミュラントは何が違うのか。今後調べてみたいと思います。

本日、別件でホームセンターに行く用事がありました。以前使っていたHB-101も無くなっていたので、園芸用品売り場を確認したところ、ハイポネックス ジャパンの「ハイポネックス速攻スプレー液」という商品がありました。ハイポネックス ジャパンといえば、日本バイオスティミュラント協議会を発足した際のメンバーです。パッケージの詳細を見ずに、早速購入して家に持ち帰りました。家で改めて、パッケージ(裏表のシール)を確認し、驚きました。成分に関して、何一つ書かれていないのです。世間一般に売られている家庭用洗剤にしても、界面活性剤の表記があるというのに、食用にするかもしれない植物にかける商品には何も書かれていない。私は自宅で育てているライムにかけるつもりで買ってきました。ライムがどんどん元気になって結実し、その実でジントニックを作るのが私のかねてからの夢なのですが、成分について何も触れていない商品と知り、かけるのを躊躇しています。成分について触れていたとしても、それが必ずしも安全とは限りませんが、何も書いていないことに正直驚いたのです。それも、日本バイオスティミュラント協議会を発足した時の企業であるハイポネックスジャパンという点もです。

残念ながら現時点で答えはありません。私が手に取るずっと前から販売されているので、きっと安全な商品だとは思いますが、何が入っているかわからない商品を、これをかければ植物は元気になるよと言われて皆さまは納得して使うことができるでしょうか。自分が食べるものならまだしも、大切な自分の家族が口にするものに、成分の分からないものをかける行為は私には理解できません。もし使うなら、ハイポネックススプレー液は食品にしない花などに使ってみたいと思います。

タイトルに戻ってしまいますが、バイオスティミュラント資材って、本当に大丈夫なのでしょうか。なぜ、ハイポネックスジャパン社は商品に成分を一切書かないのでしょうか。法律がないから書かなくてもいい?これが日本バイオスティミュラント協議会の基準だとすると、この協議会の存在とは何でしょうか。生産者が納得する効果があり、消費者に安全な食材を作るための基準が危ぶまれるのではないかと恐れを感じています。

最後に、2~3年前のことですが、私は日本バイオスティミュラント協議会の事務局に問合せをしたことがあります。担当の方のお名前を失念してしまいました(おそらく当時の事務局長)が、素人の私の疑問に丁寧に答えてくださりました。何か困ったこと、知りたいことがあればいつでも連絡くださいとまで言っていただきました。それゆえ、私は日本バイオスティミュラント協議会が名ばかりの任意団体にならないと確信し、業界の基準となり、日本農業を取り巻くメーカー、生産者、消費者を豊かにし、国を動かし、法制化する際の基準となるべく活動を続けてくださる団体になると切に願っております。

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