水稲用バイオスティミュラント資材は誰が使うのか

アナタがバイオスティミュラント資材を使っているのはどの作物ですか? つぎの作物のうち、当てはまるものに○をつけてください。米、小麦、大麦、大豆、小豆、そば、とうもろこし、いちご、トマト・・・。こんなアンケートがありそうですよね。

水稲用バイオスティミュラント資材は誰が使うのでしょうか。何をバカなことを言っているのか、とお叱りを受けそうなことを聞いてしまい、申し訳ありません。答えはもちろん、米農家ですよね。全員が一致する答えだと思います。ならば、なぜこのようなタイトルを付けたのか。それは、使える米農家と使えない米農家がいるからです。一言でいえば、栽培面積に伴う収入によるということです。

米農家は米価下落により年々収入の確保が難しくなってきました。国も生産者の収入を守ろうと減反政策を実施し、全国の栽培面積を少しずつ減らしてきましたが、それでもなお米価は下がり、家族経営の小規模な米農家はほぼ赤字と言われています。なお、減反政策は2018年に既に廃止となっています。

かつては作りたくても作れば作るほど、米価が下がり、労力に見合う収入が得られませんでした。しかし、最近は少子高齢化による後継者不足で耕作放棄地や宅地化が増えていると聞きます。これについては大規模生産法人であろうと小規模家族経営であろうとどちらもリスクがないわけではありません。100ha以上所有している生産法人でも後継者が見つからず、廃業したと聞いたことがあります。国が減反推進を辞めたのは、補助金を出さなくても、必然的に耕作面積の減少が加速しているからでしょう。

ところで、赤字の米農家はなぜ存在するのでしょうか。米の買取金額が低いからでしょうか。それは確かな理由でしょう。さらに、ロシアとウクライナの戦争やアメリカの金利上昇等により、急速に円安が進んだことで燃料費や農薬、肥料価格の高騰も原因のひとつです。収入である米価が下がり続け、生産コストが上がり続ければいつかは分岐点に達するのは当然です。そこで、日本全国各地にあるJAの全国組織であるJA全農は高騰する化成肥料の価格に歯止めを打つため、平成28年度に550銘柄あったものを令和2年までに24銘柄に集約し、これにより農家コストを1~3割程度減らすなど、生産者サイドでも支出の低減を進め、その流れは今も続き、さらなる銘柄集約を試みている地域もあります。

しかし、一般的な慣行栽培であれば、肥料を使わずに栽培することはないでしょう。これまで当たり前に使ってきているため、肥料を使わなかった場合、どの程度の収量が下がるのかわからないかもしれません。したがって、肥料のコストが下がるのはたしかに収入増にはつながりますが、肥料のコストの1~3割であり、生産コスト全体にすればわずかではないでしょうか。とはいえ、生産者に寄り添う方針を打ち出したのは、生産者組織のない民間企業にはできないJA全農らしい素晴らしい行いだと思います。

さあ、ようやく見えて参りました。水稲用バイオスティミュラント資材を誰が使うのか、それは専業の大規模経営ないしは大規模な農業生産法人というのが私の答えです。サラリーマン兼業農家が慣行栽培に加えて、バイオスティミュラント資材を使うとは考えにくい。それを導入する際には、肥料や農薬を減らすことができるのなら活路はありますが、それプラスαとなるとさらなるコスト増となり、実現は難しいでしょう。専業ながらも家族経営農家(3~5ha程度)においても、難しいでしょう。結局のところ、米の場合、種子消毒から始まり、直播なのか疎植なのか、疎植なら苗を買うのか、自家育苗するのか、自家育苗なら予防的防除として育苗箱施用剤を使うのか、温湯消毒で済ますのか、すべての工程で規模によってコストカットが可能ですが、多すぎると今度は人的コストの算出が必要になるので一概には言えませんが、コストを限りなく抑えることができるのは、ある程度までの規模拡大だと思います。

水稲用バイオスティミュラント資材を検索してみた結果は下記の通りです。

会社名商品名規格価格
ファイトクロームファイト・アップ50g3,410円
ファイトクロームエヌキャッチ6.25g7,500円
安藤通商こめ専科1L7,150円
太陽油化東京810L16,500円
アクプランタスキーポン1L8,000円
石原産業ライスフル100ml5,280円
シンジェンタジャパンアビオスリー
北興化学工業エンビタ

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