バイオスティミュラントとは?
バイオスティミュラント(Bio Stimulant)とは
Bio = 生物 + Stimulant = 刺激 = 生物刺激剤。
EUでは、植物に用いるため、Plant Biostimulantと呼ばれています。
●バイオスティミュラントの効果
バイオスティミュラントとは、植物に直接散布したり、土壌に潅水する等し、植物に適度な刺激を与えることで植物が本来もっているパワーを引き出し、様々な非物質的ストレスに耐性をもたせ、健全な植物の成長を促すもの。病害虫から植物を守る農薬や土のなかに不足している栄養素を補うための肥料とは異なり、植物自身の潜在的な能力を引き出したり、あるいは顕在的な体力を維持するため、異常気象による高温やゲリラ豪雨、あるいは長期日照りや干ばつによるストレスを緩和させたり、代謝を向上させたり、光合成を促進したり、開花や着果を促進させる等、商品によってさまざまな効果を期待できます。
●サプリメントのようなもの
バイオスティミュラントを平たく言うと、サプリメントや特定保健機能食品のような位置づけと考えることができます。サプリメントは薬とは異なり、病気の治療や症状の緩和を目的とするものではなく、健康の維持や増進、栄養補給を目的とした食品ですが、薬ではないとはいえ、何らかの成分が入っているため、過剰に摂取をすれば身体に負担をかけるおそれは否めません。また、直接口に入れる食品であるため、サプリメントそのものを規制する法律はないものの、食品に関する法律を守らなければなりません。
●バイオスティミュラントに関する法律はない
農薬には「農薬取締法」、肥料には「肥料の品質の確保等に関する法律」とそれぞれに法律があり、ルールが設けられていますが、バイオスティミュラントには今のところ、こうした明確なルールが設けられていません。そのため、バイオスティミュラントと定義するものがなく、それぞれのメーカーによって表示方法も様々です。また、取扱いについても罰則等の規定もないため、効果が不確かでも、バイオスティミュラントとして売ることができてしまいます。ともすると、生産者は石橋をたたいて渡らなければならないのでしょうか。
●実際に効果をこの目で確かめたいが・・・
ご自身の圃場に実験圃場を設けることができれば、処理区と無処理区とで段階的に効果を確認することも可能ですが、大規模生産者でなければ、そうもいきません。例年と同じ作付面積で、新たな資材を投入するということは、収量が変わらない場合、単純にコスト増え、デメリットしかありません。農業者の所得向上が叫ばれる昨今、また高齢化が進む日本農業では生産者がこれまでと異なるやり方にチャレンジすることは難しいでしょう。一か八か、商品を信じて使ってみたものの、バイオスティミュラント資材を使ったから収量が増えたのか、たまたま天候に優れ、あるいは病害虫が少なかったから例年よりもよかったのか、まさに自分の生産現場をもってして実験圃場にするにはリスクが大きいといえます。
●大規模生産者よりも小規模生産者の発信力が勝る
メーカーや販売店からすれば、購入数が変わらなければ、1つ大規模生産者の方が手続きが簡単です。従業員の数も少なくて済みます。一方、100人の小規模生産者の場合、資材の配達が必要になれば、従業員の数も相当増やさねばならず、販売店側のコストがかかります。とはいえ、今まで使ったことのない資材を新たに導入してもらうためには、隣の圃場はどうだったのか、あっちの圃場はどうだったのか、身近なところでの成果・実例がもっとも信頼できる情報ではないでしょうか。そうなると、1つの大農場ではなく、より多くの生産者に使ってもらうにはどうしたらよいかを販売側は考えなければなりません。
●BS資材への不安は尽きない
メーカーの試験結果を見る限りでは効果がありそうに見え、使ってみたいものの、生産者の皆様は何を基準に判断して購入を決めればよいか悩むことだと思います。また、効果がないばかりか、万が一にも土壌が変質してしまったり、当初想定していなかったトラブルが発生した場合、メーカーは補償や返金に応じてくれるのか、こういったところも気になるところだと思います。バイオスティミュラント資材は生産者だけの問題ではありません。消費者にとっても、こうしたルールのない資材を使った農作物が果たして安全なものなのか、少し食べて何らかの実害はなくても、長期的に見た場合の健康リスクに不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
●中小企業が参入できるジャンル
これまで農薬や肥料については、きちんとした法律があり、定義があり、基準が設けられています。つまり、決められた通りに使えば、安全に使えるという国のお墨付きになります。ただ、登録や登録を維持するためには多額の資金が必要で、資金力のない企業には参入することが難しい分野です。かつては数多の企業が名を連ねていましたが、今では一部の大企業のみに限られています。一方、バイオスティミュラント資材にはまだ法律がなく、登録も不要のため(肥料として登録する場合もある)、裾野が広く、新規参入のチャンスと見込み、大小様々な会社が乗り出しています。「バイオスティミュラント」で検索してみると、これまで聞いたことのない多くの会社が製品を作っていることを知りました。
いくら参入は自由でも、まだまだ浸透しているとはいえないバイオスティミュラント資材を購入してもらうには販売店や生産者に信用してもらわなければなりません。いくら素晴らしい素材を使った商品だと訴えかけられても、彼らがカンタンに首を縦に振ることはないでしょう。そこで、多くの企業が取り入れているのが、実際の圃場での試験データです。試験結果を事例として挙げていれば、視覚的に判断できますし、それを信頼して購入するという方もいるはずです。
売り込みたい側の情報だけでは購入を決められない、そういう方でも身近にある防除所や普及所等の試験圃場での効果を実際に見て確かめれば話は別です。ましてや近隣の圃場で実際に取り組んだ効果を聞いたことのある生産者ではあれば、早くその商品を知りたかったと喉から手が出る気持ちだと思います。
●リスクの少ない商品を買いたいのが本音
生産者がバイオスティミュラントを導入する際、もっとも信頼を置くところは、すでに農薬や肥料のメーカーとして実績を積んできた有名企業の商品ではないでしょうか。例えば、日本の複数企業で発足した「日本バイオスティミュラント協議会」に、当初から関わっている「アリスタ ライフサイエンス」や「OATアグリオ」の商品だから、というのはもっともな理由の一つです。誠実な生産者には、このお米にはどんな農薬を何回使用したのか明記している方もいます。今後、バイオスティミュラント資材を記載することがある場合、こうした有名企業の製品だからというのは消費者マインドとしても商品を選ぶ一つの理由になるはずです。
●最後に
バイオスティミュラント資材は、作物のストレスを軽減したり、根張りをよくしたり、光合成を促進するなどして、収量を上げる、こんな謳い文句が本当に叶うなら、今すぐにでも飛びつきたい商品ばかりです。情報を確かめ、効果のある商品を選びたい生産者にとって、信頼のおける会社はどこなのか。自分の圃場にあう商品はどれなのか。
当サイトでは、バイオスティミュラント資材を提案したいメーカー様や販売店様と、何を基準に選べば良いのか悩む生産者様をつなぎ、農業に関わるすべての方が豊かになることを目指し、より一層皆様のお役にたてるWEBサイトになるよう努めてまいります。